予防処置について

歯医者さんへは、口の中に痛みなどの症状が出てから行っていませんか?
もちろん、症状があるにもかかわらず、歯医者さんへ行かないことよりはよいですが、お口の健康のことは二の次になっているかもしれません。

予防とは文字通り病気になることを防ぐことで、お口の中の予防は、二大疾患である虫歯と歯槽膿漏にならないようにすることです。
CMでも、虫歯にはフッ素で予防、歯槽膿漏には予防用の歯磨き粉の利用、などと言われています。
これらはご自身で行っていただく必要があり、病気にならないためにも重要な行動になります。

二大疾患の虫歯(=う蝕)と歯槽膿漏(=歯周病)についてみていきます。

う蝕の有病率(う蝕を持つ人の割合)の年次推移は、30代前半までは減少傾向を示し、30代後半から50代前半までは横ばい傾向です。
一方、50代後半より上の方では上昇傾向を示しています(出典:歯科疾患実態調査、厚生労働省)。
つまり、若年者のう蝕は減少していますが、成人期や高齢期はう蝕になる可能性が高くなっています。

そして、う蝕になる可能性が高い成人期や高齢期でのう蝕予防には、フッ化物入り歯磨剤の使用や甘味制限などのセルフケアの他、歯周病検診や後期高齢者歯科検診の受診、保険制度の利用など、専門科による支援や定期管理が必要である、と厚生労働省の「歯の健康」にも報告されています。

歯周病による口の病気も問題になっています。
40代前半まではう蝕が原因で抜歯に至った割合が多いのに、50歳以上では歯周病が原因で抜歯に至ったケースが多くを占めるように変化します(出典:永久歯の抜歯原因調査、財団法人8020推進財団)。

また、歯周病がお口の中だけでなく、全身に悪影響を及ぼすことも分かってきています。
狭心症や心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系、糖尿病だけでなく、骨粗鬆症や誤嚥性肺炎、女性では妊娠との関係(つまり胎児への影響)もあります。
これらの疾患の予防には、歯周病を予防、あるいはコントロールすることが重要であることも知られてきました。

う蝕や歯周病の原因となる歯垢の除去が予防になり、セルフケアが重要なことは言うまでもありません。
しかし、歯の形や歯並びは人それぞれで異なりますので、自己管理のみで完全に予防を図ることは困難です。

そのため、私たち専門家も一緒になって、お口の健康を維持することが重要なことになります。
歯科医師、歯科衛生士が行う適切な治療(予防処置、歯石除去や歯面清掃等)と普段の歯磨きを組み合わせることで、う蝕や歯周病を予防することにつながり、ご自身の歯を失わないお口の健康、引いては全身の健康にもつながっていく、と考えています。

小さい虫歯、軽症な歯槽膿漏など、早期にお口の異常を発見して、早期に治療することで、早く健康なお口の状態に戻らせる、あるいは近づかせる、そして定期的な歯科健康診査を習慣化していただき、私たちと共にお口の健康を維持していきましょう。

むし歯予防

フッ素塗布

フッ素は、エナメル質(歯の表面の固い組織)結晶の安定化作用、再石灰化(歯から溶けたカルシウムやリンを元に戻す作用)促進作用、プラーク(磨き残し)細菌に対する抗菌作用によってむし歯を予防してくれることが分かっています。

お家で行えるむし歯予防としては、フッ素入りの歯磨きを利用した歯ブラシを行うことですが、歯ブラシが物理的に届きにくい部位へのむし歯予防には歯ブラシだけでは限界があり、歯科医院でのフッ素塗布を推奨しています。

フッ素塗布により、子供のうちからむし歯になりにくい歯を作り、成人になってもむし歯にならないようにして、歯を失う原因を子供のうちから減らす習慣を育みましょう。

シーラント治療

生えて間もない子供の奥歯は溝が深く、食べカスが溜まりやすくなります。これはむし歯になりやすい状態です。歯ブラシがとどきにくい溝の深い部分をプラスチック材料で覆い、深い溝からのむし歯を予防するのがシーラント治療になります。

シーラントを詰めているからといって安心しきって歯ブラシを当てないと、プラスチック素材の端からや、歯と歯の間や歯と歯茎の間がむし歯になります。歯ブラシはしっかりする必要があります。

シーラント治療後、普通のお食事でしばらく歯を使っていると、噛み合わせによってはプラスチック材料が削れたり外れたりすることがあります。処置後も定期的にお口の中をチェックして、むし歯予防効果を持続していきましょう。

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